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ダノンジャパンに聞く、社会と企業と未来のこと。

きっとみんな一度は味わったことがあるであろうヨーグルト、植物性食品の「ダノンジャパン」は社会的な取り組みに関して非常にアクティブな会社であることをご存知だろうか。公式ホームページを見ても、様々な取り組みを現在進行形で実行する姿に感動すら覚える。

そんなダノンジャパンにアンケート方式でインタビューさせていただいた。SDGsなど社会・環境への取り組みが活性化しつつある日本においても参考になるはずだ。特にまだまだ日本では取得企業の少ないB corp認証については、惜しげも無くどのように認証までのフローを踏んだのかを詳細にご回答いただいた。

貴重なアンケートによるインタビュー、ぜひご一読いただきたい。

↑ダノンジャパン株式会社 公式ホームページ。

企業理念こそが、取り組みの指針。

-「One Planet. One Health」を掲げるダノンジャパンが、社会的な取り組みに力を入れる理由はなぜですか?

ダノンには、「社会の発展なくして、企業の成功はない」という考えに基づいた「デュアル・プロジェクト」という企業理念があります。これは、1972年に当時のCEOアントワーヌ・リブーが掲げたもので、以来、ダノンの企業哲学の基礎となっています。
ダノンはこの理念に基づき、社会と共存しながら持続的かつ利益ある成長を追求すること、そして、消費者、顧客、取引先、株主の皆さまと価値観を共有し共に発展していくことを目指しています。

-活動に関しても、1972年から長く問題意識を持って続いているかと思います。その勇気ある姿勢と取り組みそのものをサステナブルに続けられるのはなぜでしょうか?

CEOが変わっても、現在に至るまで「デュアル・プロジェクト」をダノンの企業理念として、継続してきたからです。2代目のCEOは事業戦略や経営手法、企業文化の独自性を強化する中で、ダノンの現在のミッション「世界中のより多くの人々に食を通じて健康をお届けする」を作りました。そして3代目のCEOが、人々の健康と地球の健康は相互につながっているというダノンの考えを反映した、現在のダノンのビジョンである「One Planet. One Health」を作りました。これらはすべて、ダノンの初代CEOが掲げた「デュアル・プロジェクト」の旅路の中でのマイルストーンにすぎません

-長期間に渡る問題意識をお持ちですが、現在の地球環境への思いと、それに対して企業としてどのようなアプローチができると考えてらっしゃいますか?

ダノンでは長らく問題意識を持つ中で、私たちが解決できる問題に対し、具体的なアクションを起こしています。それらは明確に数字で目標を持ち、毎年達成したかしていないかのパフォーマンスを社内外で評価を行うことで、確実に実現へと近づけています。
それは、何も地球環境を守ることだけではありません。私たちのビジョンである「One Planet. One Health」は「人々の健康と地球の健康は相互に関連しているという」強い信念から成り立っています。「One Planet. One Health」には、健康な体には健康的な食べ物が必要だと考えており、健康的な食べ物は私たちの食生活やライフスタイルの一部であり、それは私たちの暮らす地球環境ともつながっているという考えが込められています。
ダノンでは健康というものを自身の体だけでなく地球環境も含めてホリスティックな形で総合的にとらえており、様々な側面での「健康」を維持できるような活動を従業員と一緒に行っていきたいと考えています。

活動の一つ一つはかなり細かくなりますので割愛をさせていただきますが、ダノンの取り組みとそれぞれに対するパフォーマンスの一部は以下のように公表されています。

課題解決のためのヒント。

-様々な社会課題に対して、数多くの活動を様々な角度で実施していますが、どのように課題を発見し、企画・実行しているのでしょうか?

ダノンにはサステナビリティを推進する組織があり、様々なステークホルダーの調査など社内外で情報を収集し、ビジネスに関連する重要課題を特定し、それらをビジネス戦略に結び付ける形で議論し、企画・実行に移しています。

-こういった活動に取り組める社内のカルチャーはどのように作られているのですか?特に日本では、こういった取り組みへの理解を社内で得られない企業も多いと感じておりますので、打開するためのヒントをいただければ嬉しいです。

ダノンは、明確な企業理念と、サステナビリティに取り組むことをビジネス戦略として組み込むことが重要だと考えています。
現代の消費者の購買行動として、健康的でサステナブルな製品がより好まれる傾向にあります。先ほどの質問でご紹介したダノンのパフォーマンスがわかる資料の中にいくつか事例がありますのでご参照ください。

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-ダノンジャパン様が求める人材の中で「成長をけん引できること」というのがあると思います。SDGs的な観点から「脱成長」というのも注目されているかと思います。ダノンジャパン様が考える「成長」とはどのようなものでしょうか?

成長とは単に売上を伸ばすことではありません。冒頭にも回答をいたしましたが、ダノンは「デュアル・プロジェクト」の理念に基づき、社会と共存しながら持続的かつ利益ある成長を追求しています。
ダノンのビジョンやミッションの実現のために、まだまだ私たちができることはたくさんあり、現在の体制では着手できていないこともあります。そのために必要な成長を続けていくことが重要だと考えています。

-日本では、まだまだ短期的な利益に結びつかない(と思われている)企業の社会的な活動が活性化していないように思います。ダノンジャパン実際に社会的活動と企業利益をどのようにバランスをとってらっしゃいますか?

ダノンは「デュアル・プロジェクト」の理念に基づき、社会と共存しながら持続的かつ利益ある成長を追求しています。ダノンの社会活動とビジネスは相互関係にあり、どちらか一つに投資を行っているわけではありません。社会の利益と企業の利益を同時に追求していくことが社会と企業の双方の発展につながると考えています。

B Corpについてのいくつかの質問。

↑B corp公式サイト。

-日本ではまだまだ取得企業も少ないB Corp認証についてお聞きします。取得までの経緯をお教えください。日本ではこうした認証があることすらまだ知られておらず、企業としてなぜ取得したのかを聞きたく思っております。

ダノンは2025年までに世界中の全ての子会社でB Corp認証を取得するという目標を立てております。実際に日本においてこの認証を取得することがダノンジャパンのメリットにつながるのか内部検討を重ねた結果、B Corpを取得する判断をしました。理由としては以下となります。

B Corpになると5つのカテゴリー(ガバナンス、従業員、コミュニティ、環境、顧客)で継続的に改善していくことが求められ、ダノンジャパンが日本の社会的課題に向き合いながら、より良い会社・職場として持続可能な形で成長していくことにコミットしているということを意味します。それにより、以下のメリットがあると判断いたしました。

人材を引き付ける:食品の未来を形作るのに必要な才能を引き付け、自社に誇りをもって働き続けてもらうことが可能になります。昨今の従業員の中には、ビジネスや社会に良い影響を与えることができる職場で働きたいという人々がいます。B Corpであることは、5つのカテゴリーにおけるコミットメントに基づいて行動する会社であることを既存のそして将来の従業員の両方に示しています。

顧客・消費者を引き付ける:消費者にとって、自らが選択した製品・ブランドの背後にある会社とその活動を理解することが、ますます重要になってきています。世代や収入のレベルを問わず、社会的課題に取り組む企業のブランドを好む人々が増えています。

ビジネスパートナーを引き付ける:B Corp認証により、良き企業市民であることが、ビジネスパートナーが期待し、信頼できる具体的で測定可能なものになります。また、共に社会をよりよくする変革をもたらすことも可能になります。

-取得までのご苦労や、どのような部分で企業としての改善を促されましたか?どうしてもB Corpでどういったことを求められるのか見えづらい部分がありまして、具体的にいくつかお教えいただけると嬉しく思っております。

ダノンジャパンがB Corp認証を取得するにあたって、まずは社内で「B Corpタスクフォース」と呼ばれる異なる部門の代表者からなるチームを結成し、このチームを中心に認証に向けた作業と社内での認知度をあげるべく社内コミュニケーション・アクティビティの企画と実施を行いました。

具体的には、9人のタスクフォースメンバーを中心に、アセスメント作業を完了し、Bラボでのリモート監査の管理を支援するために、200を超える質問に回答し、関連するエビデンスを準備しました。

社内コミュニケーションでは、B Corpのビジョンと価値観を共有し、社内の活性化とエンゲージメントアクティビティとして、全社員ミーティングでの進捗の共有や社員参加型アクティビティ、対話型のセッション、社員の意見や希望を収集するための施策、部門横断的なミーティングなど、年間を通して数多くの施策を実施し、社内における認知度と興味を高めました。

B Corp認証のために、ダノンジャパンで最も困難だったことに関してですが、Bラボからの質問への回答では、文書によるエビデンスを添付することが求められます。すでに行っている十分なエビデンスが無い作業を測定、統合、報告するための方法論を導入する必要がありました。

さらに、特定のプログラムを体系化し、それを組み込んだ形の規定、手順書、および作業方法の見える化を準備する必要がありました。(例えば、ボランティア活動の時間を記録するためのシステムと手順、一部のトレーニングプログラムの記録、サプライヤーとその社会的および環境の課題と私たち自身のバリューチェーンへの影響の管理と見える化など)

こういった困難がありましたが、ダノン本社のB Corp専任チームのアドバイスやサポートを受け、また、すでに認証を取得しているダノンの他国のB Corpのベストプラクティスを取り入れ、そこから学びながら進めることができました。

-B Corp認証を取得後、どのようなメリットがございましたか?

サステナビリティに対して積極的なお客様から、ダノン製品に対する大変高い興味を持っていただきました。また、新しく入った社員に、ダノンに興味を持ってもらったきっかけを聞いたところ、B Corp認証を取得していることを挙げてもらうことができました。

ダノンジャパンの描く未来。失いたくないもの。

-「これからの未来に失いたくないもの」はなんでしょうか?

ダノンの「デュアル・プロジェクト」の理念を継続していくことです。社会と企業の発展の両立は、今までもそしてこれからの未来のためにも失ってはならないテーマであると考えています。

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Less is More.

当メディアでは、はじめてのアンケートによるインタビュー、いかがだったろうか?何しろ非常に丁寧で、詳細なご回答は、企業としての真摯な姿勢そのものだった。

SDGsに代表される社会・環境への取り組みに対して、どこまで本気で取り組めるかは、これからの企業にとってとても重要な問題だ。良き取り組みにトライできる企業が増えることを願う。

(おわり)



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