ビジネス潮流の変化と、14歳への回帰。園田編集長との雑談(前編)園田編集長との雑談(前編)
当メディアLess is More. by infoMartが立ち上がったのは2020年7月。それから約4年半が経とうとしている。2025年で5年目の節目を迎える現在、立ち上げから現在まで編集長を務めてきた株式会社インフォマートの園田林太朗氏に、現在考えていることや、これからの方針について、雑談してみた。
株式会社インフォマートという、DX推進企業がなぜこのようなメディアを運用しているのか、どのようなことを考えて運用されているのか、ちょっとユニークなビジネスパーソン、園田編集長の話をぜひご一読いただけると嬉しい。
ビジネスの新しい潮流とメディアの活用。
-今年もおつかれさまでした。
園田:おつかれさまでした。
-どんな一年でしたか?
園田:僕は普段インフォマートという会社に所属しているんですけど(笑)。
-えぇ(笑)。
園田:まず、会社としては利益に直接関与しない仕事が増えたように思います。社会課題解決に企業として取り組みはじめた一年だったと思います。有益な活動をされている団体へのスポンサードや、子どもに向けたイベントへの参加など、かなり多様な活動が増えたと思います。
-当メディアでもお話を伺った株式会社academistが主催するacademist Prizeのスポンサーもされましたよね。
園田:おかげさまで、良い取り組みに繋がりました。最近、ビジネスの大きな潮流にも変化が起きているかなと思うので、タイミングも良かったですね。
-どんな変化が起きているんですか?
園田:先日、あるベンチャーキャピタルの方にお聞きしたのですが「投資家界隈では、1990年代後半からインフォマートも含めたWEBサービスベンチャーが盛り上がり、その後2010年代はいわゆるスタートアップと呼ばれる起業家ブームみたいな波がきた。現在は、それもひと段落して次のモードに入っている」そうなんです。
-次のモード?
園田:その方曰く「より発明家に近い人に投資が集まるようになってきている」と。特許が取れるレベルの発明を考えている人が起業し、それをカタチにするために必要なヒューマンリソースと資本が集まるというモデルが注目されているそうなんです。
-今までのビジネスモデルと具体的にはどこが違うんですか?
園田:例えばメルカリって、創業した当初はヤフオクとちょっとした視点の違いくらいでサービスとしては決して新しいものではありませんでしたよね。メルカリは、PC中心だったヤフオクに対してスマホで直感的な操作ができるインターフェースを導入したり、ターゲティングを洗練させることで大きく成功しました。現在は、こういったビジネスモデルでなく、ゼロから1を生み出すような「発明」を現在の投資家は求めているそうです。
-0⇨1で発明できる人やアイデアをみんなで支えるようなビジネスが注目されていると。
園田:ちょうどそんな話もお聞きしているときに、アカデミストさんへのスポンサードが決まったので、なんとなくリンクしているようにも思います。
-確かに、研究者のクラファンって、アイデアベースで人と資本が集まるってモデルですもんね。
園田:誤解されたくないのが、インフォマートとしてはビジネス的なリターンを得ることを期待しているわけではないんです。どちらかというとビジネスの大きな潮流があるのなら、そういった知見を得たいと思っているくらいですね。
-そういった知見を得るためにもメディア運営を活用しているのは、面白いですね。
中学生の頃の感覚を取り戻す。
-園田さん個人としては、どんな一年でしたか?
園田:僕自身もちょっとモードが変わったのかもしれませんね。今までは、事業を大きくするぞ!と熱狂してきましたけど、少し落ち着いてきたように思います。
-熱狂が冷めてきた?
園田:冷めたわけでなく、今も変わらない熱意を持って仕事していることは確かなんです。でも今年から、プライベートで小説を書き始めた影響で、仕事の捉え方とかワークライフバランスみたいなものが変化したように思うんですよね。
-小説!いい趣味ですね。
園田:あまり小説をお金にしようという気はないので趣味なんでしょうね。でも、同時にお金にならなくてもいい、と100%割り切れているわけでもないんです。毎日時間を見つけて2000字くらい書き進めていて、今のところ全然飽きていない。ゴールを決めて毎日ちょっとずつ近づいている。なんか、色々な書き方を調べたりして書いてみているんですよね。
-あぁ。ちょっとだけ欲のある趣味っていいですね。
園田:僕は中学生の頃にテーブルトークRPGが好きだったんですけど、あの頃の感覚を取り戻したいのかもしれません。会社員とはまたちょっと別の部分で、自分の世界を取り戻すために書き続けています。あまり世の中に何かを伝えたいという気持ちはなくて、書いていることそれ自体が目的なのかもしれませんね。
-童心を取り戻したいってことですか?
園田:感覚的に「老いたな」って感じもないので、童心に戻りたいわけでもないんじゃないかと思うんです。単純に集中できる時間が欲しいのかもしれませんね。スマホの影響だと思うんですけど、何かに没頭する時間はやっぱり減ってますからね。話はちょっとズレるんですけど没頭できていないせいか、この間、漫画雑誌が一冊読みきれなかったんですよね(笑)。
-あー。僕は連続ドラマなんかは見切れないって思っちゃいます。
園田:わかります。現代はものすごい質の作品が大量にリリースされていますから、よほどタイミングよく、話題になっているうちに触れないと一生見ない気がするんですよね。一方でガンダムとかスターウォーズは、第一作からリアルタイムで触れていたせいか、未だに新作が出ると見れちゃうんですよね。なんだろう。やっぱり加齢なんですかね(笑)。
-わかりません(笑)。でも確かにシリーズものはもちろんですし、ドラマとかもシーズン5とか言われるとちょっと見るのに躊躇しますよね。
園田:シリーズものって型とか枠組みだけがなんとなく残って、ある種の伝統になっていく感じしますよね。どれもやっぱり第一作目は鮮烈なんですけど、どんどんスピンオフができたり複雑化していくし、シリーズものの正解ってちょっと分からないですよね(笑)。
-シリーズのファンが年老いてくると、若年層を取り込もうとしたりしているうちに、よく分からない感じになっていっちゃいますよね。
(中編に続く)