Less is More.「note pro事例セミナー」登壇リポート。
2023年10月6日。note proのオンラインイベント note pro事例セミナーに当メディアの編集長・インフォマート園田が登壇させていただいた。Less is More.はどのような思いで立ち上がり、運営を続けているのか。
「目先のPV数には捉われない?! 長期的視点でnoteを運営するメリットとは」をテーマにnote株式会社の大井智之氏にインタビューをしていただいた。
noteを立ち上げるまで。
-(note 大井さん)そもそも、なぜこういうメディアをはじめたんですか?
園田:Less is More.のプロジェクトは2020年緊急事態宣言直前にスタートしました。
インフォマートを発注・請求等にまつわる「便利なツールを提供している会社」とだけ思っていただけるのは、企業としては本意ではないなという思いがありました。企業としての思いや考えを表現するための一つの手段だったんです。
-なるほど。
園田:ちょうどその頃からVUCAの時代なんて言われ始めましたよね。先のよくわからない不安な時代だからこそ、何かしらの種を蒔いておこうって取締役の木村やチームでも話していて。その表現の一つとしてメディアがいいんじゃないかって思いました。不安だからこそ情報にアンテナを張っておくことは、大事だなって。
-便利なツールの会社と見られるのは、なぜ違和感があったんですか?
園田:メンバーとも話していたんですが、価格競争の中で安くて便利なものをだけを売り続けるのは違和感があったんですよね。
ビジネス戦略的にも、同じような機能・価格のプロダクトやサービスと比較された際に、何かしら思い入れのある方を選んでいただけるんじゃないかって思います。
CSRとかSDGsを推進しつつも、私たちインフォマートが見ている視野・視界、着眼点みたいなものをいいねって感じていただける方がじわじわと増えている数年後があったらいいなと考えています。
メディアを立ち上げるまで。
-実際にどのように立ち上げたんですか?
園田:一部門の予算の中で、ひとまず立ち上げてみたので、始めることへのブレーキがなかったんですよね。noteを使って”これこれこういう内容をやってみます”って経営会議で説明してもなかなかイメージが伝わらないと思うんですよ。自分達としてもきっとこうなるって予想はするものの、始めてみないと分からない部分もありました。ですから、まず始めようと。走っていく中で見えてくるもの・形になってきたものを報告するようにしています。
-そういうふうに立ち上げたんですね。
園田:部門の中できちんと営業的な成績を出しながら、実業とは角度の違う余白として続けさせていただくようにしています。
-大きく巻き込むというより、スモールにスタートを切ることを優先されたんですね。こういう視座の話について、部門の中で議論してスタートできたこと自体がすごいことだと思います。
園田:ありがとうございます。
-インフォマートは、テクノロジーの会社なので、デザイナー・エンジニアさんもたくさんいる中でnote proを選んだのはなぜですか?
園田:自社で構築する議論もありましたが、テクノロジーの会社であるがゆえ、セキュリティ要件が非常に厳しかったんです。立ち上げ・運営でつまずきそうだったので、外部サービスも同時に検討していました。
当時Twitter(現X)でnoteの記事を見ることは多かったので、SNSとの相性も良さそうだなと感じていました。実際に使ってみるとnoteにはPVとかフォロー数だけに寄りすぎない、独特な価値観とか世界観がありますよね。それも、続けられた要因かなと思います。
-ありがとうございます。
園田:noteは立ち上げが簡単でした。記事を書いて出すというシステム部分に関しては完成しているので、自分達で構築してあーだこーだ試行錯誤するより、始めやすかったと思います。
-コンセプチュアルなメディアですが、どのようにコンセプトを導き出したんですか?
園田:Less is More.というタイトルを決めたことで、いいスタートが切れたと思います。インフォマートのサービスをごく簡単にいうと紙でのやりとりをデジタル化するということです。
「業務を効率化し、シンプルにする」という事業を「少ない方が豊かである」というニュアンスで「Less is More.」と言い換えたんです。
-なるほど。
園田:同時に「そもそも何でデジタル化するのか?」というのに対して、もう一度考えるきっかけにもなりました。効率化によって"四六時中働きまくれるようになる"ではなくて、もっと別の人間らしさってあるんじゃないかって議論の中から「デジタルで人間らしさを取り戻す」という理念のようなものが生まれたんです。
-「人間らしさを取り戻す」っていう着地点があるのがすごくユニークだし、すごく面白いですよね。
園田:タイトルが決まるまでは、色々な議論がありましたが、出てきた時はバシッと決まりましたね。
KPIを持たないこと。
-続けるコツはありますか?
園田:運営姿勢をはっきりさせたのは大きいですよね。今日のタイトル通り、まずはKPIを持たないことを決意した。結局3年間そのままなんですけど(笑)。
-それもすごいですね(笑)。
園田:「続けるコツ」に対しては、続けると決めることなのかなって(笑)。現在月2~3本をリリースするっていうのは、計画して動かしていっています。
-KPIを持たないことに迷いはありませんでしたか?
園田:通常の販促や広告と違って、サービスをいきなり推すことはせず、会社名はほぼ出さないと決めました。”あれ?この記事ってよく見るとインフォマートだ”っていうところに繋がるといいなと思って始めました。
-あぁ。数値的なKPIではないんですね。
園田:なんですが、数本記事を投稿した段階で、「これってインフォマートなんだ!」ってTwitterでの投稿がありまして(笑)。割と早い段階で目標達成をしてしまったんですよね(笑)。
-(笑)。
園田:通常の営業活動と別にnoteでインフォマートを知っていただくのは、このメディアの挑戦ですね。そういう新しい挑戦なので、KPIの設定の仕方もよくわからないっていうこともあります。SNSでも私たちの記事のことを語っていただけたりするのを見て、しばらくはこのまま運営してみようと思っています。
-数字は追っていないんですか?
園田:もちろん提供されているアナリティクスも見ていますよ。でもnoteってやっぱり独特でスキの数とPVが連動しているかというとそういうわけでもありませんし、全然解析の仕方がわからないんですよ(笑)。
-本日の参加者から「KPIを持たないことへのメリットとデメリットを教えてください」と質問いただきました。
園田:まず、デメリットは社内から理解されづらい仕事になっちゃうってことですね。それって普段の営業活動とどう関係あるの?っていわれることもありますが、数年後への種まきだという説明を丁寧にするようにしています。メリットに関しては、やっているうちに効果が得られたので、後ほどお話ししますね。
記事の創り方。
-記事一つ一つが読み応えがありますよね。
園田:根本で言うと、チームみんなの興味のあることが色濃く反映されていますね。
コロナ禍だったからこそかもしれませんが、人間の本質って何だろうとか、働くって何だろうとか、生きるって何なんだろうって編集メンバーともそういう話をすることが多かったんですよね。
-毎回どのようにテーマを決めているんですか?
園田:システム的なことで言うと、月一度の定例と日常的な雑談でテーマと取材先を選定しています。
-どんな雑談をしているんですか?
園田:日常の雑談は、主にチャットです。「スマートウォッチがこれほど進化しているのに、何でみんな高級時計を欲しがるんだろう」とか「何で虫ってこんなに嫌われているんだろう」とか、そういう素朴な疑問、ネットニュースで見たもの、週末ちょっと気になったこと、最近考えていることを投げ込みあっていますね。
-日々雑談をしている感じなんですね。
園田:そういう日々の雑談を定例で整理する感じですね。
-定例編集会議はどれくらいの頻度なんですか?
園田:定例は月に1度です。定例では、取材先を確定させたり、どのタイミングでリリースしようかという話がメインですね。テーマに合わせて、こういうことを調べている人っているんだろうかと。その道のプロを探しにいく感じです。
-日々の雑談を活発にするために意識していることはありますか?
園田:元々、私のチームには毎日の朝礼があります。そこに当番制でトピックを持ってくるんですよ。ディズニーが好きな社員は、ひたすらディズニーについてニュースを持ってきたり(笑)。
-(笑)。
園田:仕事に直結しないものを歓迎する文化があるのかもしれません。そういうチームの文化がチャットでの雑談のしやすさにつながっているかもしれませんね。
-どの企画を進めるか、どのように判断されていますか?
園田:明確なルールはないのですが、”雑学っぽく終わらわない”テーマを選んでいるかもしれません。何となく本質的なものがそこにありそうな気がするってことで選んでいるのかなって。
-普遍化できそうなものを嗅覚で嗅ぎ取ると言うことですね。面白いですね。
園田:そうなのかな(笑)。
続けるうちに起きること。
-先ほどのKPIをもうけないメリットの話にもつながると思いますが、続けていくうちにどのような効果を感じてらっしゃいますか?
園田:まずは、雑談を通して、メンバーにも変化が起きたと思います。日々、仕事に関係ない話題を持ってきてとか言われるわけですから、みんな最初はおかしな部長の下についてしまったなと思っていたでしょうが…(笑)。
-(笑)。
園田:続けるうちに、だんだんメンバーの視野が広がったり、考え方が柔軟になってきたんですよね。
みんなには、いつもの営業活動はきちんと結果を出しながらも、そういう余白をとっておいてくれと話しました。余白を持つことは、日々の仕事や、自分自身のキャリア形成においても、関係ないことじゃないと私は思っていて。
-確かにそうかもしれませんね。
園田:こうしてお話をいただいたこのイベントも、きっと何かしらにつながっていると思うんですよね。
そもそも、仕事とプライベートで考えを完全に分けるなんて、本当はできないんじゃないか…なんて話をしていたら、メンバーもだんだんおかしくなってきました(笑)。
-(笑)。目先の仕事はしないといけないけど、取り組みの中で余白が生まれて考えが変化したり、深い思考をすることになったのは面白いですね。
園田:あとは、思ってもみなかったSNSでの拡散は効果の一つですね。佐々木俊尚さんや、石野卓球さんが反応してくれたり、そういうことがじわじわと起きています。
-面白いですね。
園田:その他にもほんとうにありがたいことに、取材させていただいた皆様から「記事をきっかけに、書籍の出版が決まった」とご連絡いただくことが増えました。これからも、もっと広く知られて欲しい方にスポットを当てるお手伝いになっていたら、すごく嬉しいですよね。
-めちゃくちゃいい話ですね。
園田:一番面白いのが、研究者の皆さんにお話をお聞きすることが増えたことによって、アカデミアとのリレーションもどんどん増えていることです。
-どんなリレーションが?
園田:インタビューさせていただいた上智大学の新井先生からは、BtoBビジネスの潮流を話してほしいと大学での講義のお話をいただきました。すごく気軽にご連絡いただいたのですが、行ってみたら100人以上の生徒がいたんで驚きました(笑)。
-(笑)。
園田:取材をきっかけに皆さんとのコミュニケーションはその後も続いていて、そういうつながりは、すごい財産だと思っています。
産学連携というと大袈裟ですが、今後はLess is More.で取材をした研究者の皆さんと紙媒体をリリースすることが決まっています。noteさん、ぜひ手伝ってください(笑)。
-検討いたします(笑)。
園田:今日参加されている皆さん、取材してみたいことや、何かしらコラボレーションを検討いただけるようでしたら、ぜひ気軽にご一報ください。
Less is More.
さて、そういうわけでLess is More.では、お読みの皆さんからの企画もお待ちしています。ぜひお気軽にご連絡ください。
紙媒体も来春リリースで鋭意製作中です。ぜひ、楽しみにお待ちいただければ幸いです。
(おわり)