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マーケティングはなんか嫌。新旧ではなくグミのように愛されるメディアへ。園田編集長との雑談(中編)

さてさて、Less is More.の編集長である株式会社インフォマートの園田氏との雑談、中編です。

前編では、2024年に感じられたビジネス潮流の変化と個人的な趣味で変化した感覚についてお話しいただきました。中編からは、これからのメディアとしてのあり方について雑談は加速します。

↑前編はこちらから!

株式会社インフォマート/ 園田林太朗(戦略営業部 部長)

新旧メディアに属せない。グミのようなメディア。

-ちょっと2024年を振り返ると、政治的な話題が盛り上がった一年だったように思います。

園田:確かに盛り上がりましたが、個人的にはうっすらと閉塞感のようなものを感じましたね。

-閉塞感のようなもの?

園田:都知事選や解散総選挙の結果だけを見ると、現状維持にとどまったイメージもあって。一方で思い出すのは、2009年に民主党が与党になったことです。ちょっと黒歴史的なイメージもあるのかもしれませんが、あの時代に与党が変わったってのは、今から振り返るとすごいことだったのかもしれないと思いましたね。

-あぁ。確かに。

園田:なので、こんなに盛り上がっているのに、そういう結果にはつながらなかったな…と閉塞感みたいなものを感じてしまいました。そんなこともあってか、政治の話題は、盛り上がりつつもどっかしら対岸の火事感が抜けませんでした。もちろん物価高とか、実際の日々でちょっとずつ真綿で首を絞められているようにも感じています。

-じわじわと不安が強まっていますよね。

園田:「ちょっと不安でちょっと下り坂な日常」が定着してしまったようにも思うんです。レートも当初は円安だって騒がれましたが、今では150円くらいが当たり前になりつつある。ガクンと落ちることも戻ることもなく、なんとなく許容している。そういう危機感のなさは、ある意味では日本の強みでもあるのかもしれないとすら思っています。

-不安な状態を緩やかに受け入れやすいのかもしれませんね。政治報道においては、新旧メディア対決みたいな構図にも注目が集まりましたよね。

園田:なかなか難しい状況でしたよね。確かにSNSや動画プラットフォームはすごい影響力でした。同時に、議論に至らない小競り合いもたくさん起きていて、なんかはちょっと辛い状況だなと。一応、このLess is More.も何かしら発信している以上はメディアじゃないですか。

-そうですね。

園田:だから、一応は色々考えてはみるんですが…なんかどうなんですかね。このメディアは新聞ほど要点だけを伝えるものでもなく、WEBメディアとしても長文な部類です。新旧メディアのどちらにも属せないようにも思うので、どういうスタンスで運営するのが良いのか掴みかねています(笑)。

-ショートコンテンツが当たり前の時代にかなりの長文ですからね(笑)。

園田:ショートが一般的といいつつも、動画やポッドキャストは長尺なものもあたりまえになっていますからね。でも、文章だと「ながら」ができないわけですから、こういう時代にこんな長文メディアを運営するのはなかなか面白いと思っています。テキストである以上、きちんと時間を割いて、目で見て考えていただかないといけないわけですから。

-確かに。

園田:いや、もうなんかグミみたいなものですよね。かなりハードなグミみたいなメディアだなって思います(笑)。

-しっかりと読まないと味わえない…確かにグミのような噛みごたえのあるメディアなのかもしれませんね(笑)。

園田:これを離脱しないで読んでいただけるなんて、読者の皆さんには感謝しかありません。

-グミって、静かに売り場が広がっていたり、不思議なお菓子ですよね。

園田:そうそう。意外と多くの方に愛されている独自の市場でいたいんですよね。そういうちょっと変なメディアなので、運営していても、皆さんから感想をいただけたり、「スキ」が付くだけでもすごい励みになるんですよ。

-この場を借りて感謝ですね。

園田:来年に向けて、一つ大きな課題がありまして。それは、インタビュイーのジェンダーバランス。これを早急に解消しないと…と思っています。
意識して運用しても、自然と偏ってしまっているので、本腰を入れて改革したいと思っています。

-こればかりは、本当に偏ってしまってますよね。真摯に見直さないといけないですね。

園田:来年からは編集部のジェンダー比率を変えることも検討したいと思っています。その上でテーマや、インタビュイーのバランスを解消していければと思います。お手伝いいただけるという稀有な編集・ライターさんがいらっしゃれば、ぜひご一報いただきたいですね。

-皆様、本当にお願いいたします…。

マーケティングは"なんか嫌"。90年代のネットのような文化へ。

-2025年、Less is More.はどんな方針で運営していくんですか?

園田:あまり言語化できてないのですが…とても青臭いと思いつつ、僕には心のどこかに「マーケティングが嫌だ」って思いがあるんですよね。
自分たちも企業としてやらざるを得ないので、あまり大きな声ではいえないんですが「こんなところに広告出したって見るわけないじゃん」って思うし、それが何万回も表示されて、何人かが”見ちゃった”としてもそれが正しいこととは、僕自身は思えていないんです。

-あぁ。マーケティングってなんかちょっとエグいな感じもしますよね。

園田:そうそう。せっかくの最新AIなのに、大量の記事を生産するために使っている…みたいなことって、すでに起きていますよね。最新の技術を使って何やってるんだろう…なんか人間ってダセェなぁって思っちゃうんですよ(笑)。

-最新技術を使って泥臭いハックをしている…そういう使い方だっけ?って思っちゃいますよね。

園田:マーケティングとかSEO…広義の「広告」の捉え方次第ってのももちろんわかるんですけどね。まだ知られていない、いいことを発信するのは大事ですし、その意味では必要なことですよ。そうわかっていても"なんか嫌"なんですよね。

-やらざるを得ないけど、やっぱり心の奥では「嫌だ」って思いがあるんですね。でも、結構そういう思いの人は多いようにも思います。

園田:1990年代後半のインターネットってもっといい場所だったと思うんです。僕は当時CDを買ってきてレビューするサイトを運営していたんですけど、同好の士がどこからともなく集まってきてくれました。どこから見つけてくれたのかわからないんですけど。人数は少なくても、好きなことをじっくり話し合うのはすごく楽しかったんですよね。当時のネットには、そういう牧歌的なコミュニケーションがありましたよね。

-40代以上はそういう記憶がある方も多いでしょうね。

園田:このインタビューの前にタイムリーにリリースされたmixi2には、ちょっと期待しています。

-mixi全盛時は、まだSNSも牧歌的で楽しかったイメージがありますよね。

園田:このメディアLess is More.に関しては、あの頃の感じで編集・運営できたらいいなって思うんです。変にマーケティングをしたり、バズったり、PV数だけを追い求めたりすることなく、独自の文化を形成できる場になったらいいなって。とか言いつつ、今回の記事は文字数を減らして読了しやすくしたらスキが増えないかなと試してみています。これが人間の悲しいところです。

-悩ましいところですね(苦笑)。

(後編へ続く)

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