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今こそ、メディアLess is More.とは何かを語る。株式会社インフォマート・Less is More.編集長 園田林太朗インタビュー。(前編)

2020年7月1日に始動した当メディア「Less is More. by Infomart」。企業の広告でありながら、広告然とした佇まいを文末リンク以外、極力排除し、「私たちに本当に必要なモノ・コト」について、有識者のインタビューだけを配信し続けた。ちょうど半年の運用を経て、2020年の編集後記として、Less is More. の編集長、株式会社インフォマート園田林太朗氏インタビューを掲載する。今回は前・後編としてお送りするので、ぜひ年末年始の楽しみとしていただければ幸いだ。

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園田林太:株式会社インフォマート 戦略営業部長。当メディア「Less is More. by Infomart」編集長を務めつつ、紙の請求書を電子請求に切り替えるべく多方面で奔走中。日本サウナ学会員、来世までビール主義者。

Less is More.は、広告なのか?

-園田さんは、株式会社インフォマート内ではどんな立場で、どんなミッションを遂行しているんですか?

園田:インフォマート内では、電子請求書事業の、営業部門の一員です。とりわけ前例のない取り組みや標準化されていない業務の運用フローを検証し、実装するまでのシステム構築を担当しています。事業には、昨今話題のジョブ型雇用では割り振り切れない業務がたくさんあるんです。例えば「3年先の我が社は、社会にどんな企業イメージを与えたいか考えておく」というような、誰にも割り振れない業務を担う人が必要なんです。そういった曖昧なミッションを遂行するのが役割ですね。

-その一つに、このメディアがあるわけですね。そもそもなぜメディアだったのか?Less is More.を立ち上げようと思ったんですか?

園田:根底にあるのは、〈BtoBプラットフォーム請求書〉というサービスを提供している〈株式会社インフォマート〉という会社を広く知っていただきたいという思いです。しかし、直接的な広告ではなくて、きちんと価値あるものと共にさりげなく知ってもらいたいという思いがあったんですよね。

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-すでに、ある業界では高い知名度を獲得していらっしゃいますよね?

園田:はい。長年サービスを提供してきた外食業界やレストランチェーンの業界では知名度があります。しかし、その他の業界にはあまり知られておらず、ましてや電子請求書以外のサービスはまだまだこれからなんですよね。そういった背景を踏まえ、さまざまなサービスを知っていただくには遠回しなアプローチをすることで、3年後の企業イメージに繋がっていくと思ったんです。直接的に「こんにちは、インフォマートです」という広告宣伝も行うのですが、それとは別に、「こんなところにもインフォマートがいた!」と思われるようなアプローチがしたいと思っているんです。2~3個くらいピースがハマると出会えるような、遠くに撒き餌をしておきたいという意図のもと始動しました。

ー今年の7月1日からスタートしましたよね。

園田:ちょうど半年ですね。当初、こういった遠回しなメディアが企業の役に立つには、2~3年かかると想定して2020年に着手したのですが、それが偶然コロナ禍と重なり加速した印象です。このタイミングでスタートしておいて良かったなと思っています。

-加速した印象があるんですね。

園田:うん。タイトルの〈Less is More.〉という言葉には、「必要最低限の物があれば良いのではないか」、そして「世の中からなくなって困るものがあるのではないか」という両義を込めました。

園田:コロナ直前…今年の1月とかから仕込んでいるうちに、パンデミックで世界が激変し、これまでの常識が見直されていきました。否応なくゼロベースで物事を考える必要に迫られたとき、皆、「譲れないもの」を意識したんじゃないかと思うんですよね。それをタイムリーに語り始めたのがこのメディアだったと思います。

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-広義では広告媒体ですよね。

園田:当社では広告や広報をするとき、それが販売促進目的なのか、あるいは認知向上目的なのか区別しています。これに当てはめると、Less is More.は認知向上目的のもの。直接的に企業へのコンバージョンが狙えるわけではないのですが、「いつかどこかで何かが起こるかも」という期待もできるメディアです。「企業としていい思想がある」とか、「ちょっと気になっている」と思ってもらえると嬉しいなと。

-なかなかチャレンジングな企画ですよね。企業がトライできそうで、できない。

園田:インフォマートは20年以上前から電子商取引事業を進めてきました。一般的には陽の当たらない場所でマイペースに成長してきた企業です。DXという言葉が一気に広まった2020年は、私たちの業界が注目されたと思うんです。今後5年間で大手もスタートアップもどんどんと競合も出てくるでしょうし、群雄割拠の様相を呈すると読んでいて。そうなったときに、きっとこういう思想ですとか、哲学…一見ビジネスに関係のなさそうなことをやっておくことが、業界の先駆者としてのイメージに繋がりやすいと直感的に思ったんです。

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ウィズコロナ社会の“先輩”に倣え。

-ちょうど半年。ここまでのご感想は?

園田:さきほどの続きとなりますが、この取り組みを始めて良かったと実感していて。本当に、社会全体がいろいろな物事を見直すことになりましたよね? 例えばビフォーコロナの時代には「仕事で家に帰れない」と言っていたことが、ウィズコロナ時代では「家で仕事をしている」状態になり。必然的プライベートな時間が増え、私たちは「今、本当に自分が大切にすべきものは何だろう」と、強くじゃないにしても考えることになりました。

-本当にそうですね。

園田:「オフィスに出社しなければならない」とか「仕事のためにプライベートを犠牲にしても仕方ない」とか思っていたのに、本当は色々とやりようがあったのだと、気づかされてしまったわけです。しかし、Less is More.で取り上げさせていただいた皆さまは、こんな世の中になる前から世間の常識とは違う視点で何かを成し遂げようとしている方が多い

-ウィズコロナ社会の“先輩”かもしれないですね。

園田:そうそう。「こういうことを考えてもいいんだ」「こんな暮らしでもいいんだ」と思えるきっかけを与えてくれたのも、個人的にもすごく救われました。登場いただいた皆さまに感謝ですね。

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KGI・KPIではなく、未来への投資として。

-こういったメディアを持って、社内での変化は感じていますか?

園田:「最近、成績どう?」とかカタい会話をする関係から、「Less is More.読んだ?」と柔らかい社内コミュニケーションができる関係になったかな。もちろん、社員全員ではありませんけど、そういう会話ができるタネは蒔けたかなと思っています。

-通常のメディアですと、どれだけ目標を達成できたかKPIで測るのが普通ですが、そこは気にしていましたか?

園田:全然してませんでした(笑)。PVが多いほうがいいに決まっているし、会議の場では数字が指標になりはしますが、あえてこのメディアにKGI(ゴール)自体を設定しなかったんです。だからKPI(目標達成度)もないわけです。というわけで、PVや「スキ」の数もそんなに気にしません。

ーKGI・KPIがないメディアって、企業としてはかなりチャレンジングですよね。

園田:もちろん、数字も参考にはしますよ。でも3年後の種まきなので、短期的にみても仕方ないんですよね。メディアの方向性も探りながら、最大限楽しんでいただけるようにと思っています。

-とても多彩で、不思議なラインナップのインタビューかなと思いますが、何か基準があるんですか?

園田:それこそ、KPIを気にするなら、SNSのフォロワーが多い人とか、そういう人選だったでしょうね。でも、私たちはどちらかというと人ではなく〈テーマ〉の議論を深めることが多いです。世の中的に当たり前と思われている物事を挙げ、なんでだろう?と仮説を立てるんです。その仮説に答えてくれそうな方を探して紐づける。もちろんフィーリングで決めることもあるんですけど(笑)。

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ーテーマ先行なので、不思議な人選だったりしますよね。

園田:未来のためにこのメディアを運用しているので、まだ世間的に有名になりきってなかったり、まだ、そこまで取り上げられていない…未来のリーダーをピックアップすることができてこそ、企業の投資だと思うんですよ。KPIを達成するだけなら、超有名な方に一点集中で投資した方が効果がありますから。

-それは、素晴らしい考え方ですし、投資の基本でもありますね(笑)。

園田:インタビューの最後に、皆さんに必ず「世の中から失いたくないものは?」と尋ねるようにしているんです。そこに共通項を見出そうとする意図はなくて…ゲストの皆さまの思いや、歪さを感じるんです。いろんな人のこだわりが多様な形で見えてきている。毎回、人の本質みたいなものに辿り着きそうになる。Less is More.はそういうメディアになればいいなと思います。

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2021年。Less is More.はどうなるのか?

-次の一年は、何か企画されていることがあればお聞かせください。

園田:半年続けることで、Less is More.に登場していただいた皆さまが点から線になってきているかなと思うんです。今後は、登場いただきました皆さまの対談があっても面白いのかもしれないなと思います。

ーそれは、すごく面白そうですね。

園田:あとは、誤解を恐れずに言うなら、高尚なメディアであり続けたい。そこはブレずにいきたいですね。SNSを介した脊髄反射的な発言や行動が増えている今の時代だからこそ、熟慮した発言や行動こそに重みがあるんじゃないかと思うんですね。Less is More.は毎回すごく長文ですし、わかりにくい話もあると思うんです。でも、じっくり読んだり、考えるということを提供すること…そういう優雅な時間を過ごしていただくのは、企業としても大事だと思うんです。

ー新しい企業広告の在り方かもしれませんね。もうひとつ。〈多様性〉ということは、ラインナップはもちろん皆さまが話されている内容としてもひとつキーワードだったように思います。

園田:社会的に小さな声とされていたことが、「多様性」をキーワードに受け入れられる時代になってきてますよね。そのこと自体はすごくいいことですねよね。その一方で、偏った強い意見を叫ぶと受け入れられるのではなく「多様性を認めていない」「視野が狭い」と非難されてしまう。そんな不寛容な状況を生み出しかねない。社会はそのバランスをどこで取るのか、まだまだその過渡期にありますよね。どちらにせよ、多様性を表現することからは逃れられないと思うので、まずは色々な角度の意見を受け入れてみようという姿勢です。

-今年は、メディアと同名のイベント「Less is More.」もかなりの規模で3回行われましたね。

園田:すごく短期間に3回も実施しました(笑)。この場を借りて、チームのみんなに感謝ですね。イベントは、これまではメディアとの関連性を持たせていませんでしたが、Vol.3からは、メディアに登場してもらった加藤先生にもご登壇いただきました。来年は、少しずつですけどイベントとメディアうまく組み合わせながら、よい世界観を描ければいいなと思っています。ひとまずは、今年一年ありがとうございました。皆さま、良いお年を。

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(後半につづく)


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