このメディアは"のどかな文化醸成の場"でありたい。園田編集長との雑談(後編)
さてさて、当メディア編集長・園田氏との雑談もようやく後編。中編では"グミのようなメディア"というお話もあった中、後編ではこれからどんなメディアとして運用していきたいのかについて、一人のビジネスパーソンとしての想い、個人としての想いを話してくれた。中編は以下のリンクからぜひご一読ください。
人生の生産性アップで、一人ひとりがSNSを見ない世界へ。
-でも、たくさんの人に見てもらいたいという思いもあるわけですよね?
園田:もちろん、見ていただきたいです。あわよくば、スキと思ったらスキを押してくれたらいいなと思っていますよ(笑)。
-皆様、ぜひお願いします(笑)。
園田:文字数を調整するとか、もっと読みやすくする工夫はしていきたいし、多くの人に楽しんでもらうための仕掛けはしていきます。でも、変にバズってもなんか疲れちゃうじゃないですか。SNSでバズった投稿とか見ると、ちょっと疲れませんか?
-うん。確かにみんなちょっと疲れてる感じはありますよね。
園田:多くのSNSが「PV数によってお金がもらえる」って構造になっているので、どんどんそういう疲れる状況が加速していると思うんです。
大勢に見られようとするSNS…本当に良くないと思うんですよね。SNSを見ないですむ世界を一人ひとりが意識して作らないといけないって思うんです。
-一人一人が対抗するしかないのかもしれませんね。
園田:ちょっとした事件でも、変な広まり方しちゃいますよね。小さな輪の中で解決できるはずの問題が、数百、数千、数万人に裁かれることになる。
一人ひとりは、善意と思って発言していたとしても、それが攻撃になっていたりする。
自分自身もSNSを見ていると、本当は自分と関係ないはずの話題に口を出したくなってしまうので、すごく気をつけています。
-どんな風に気をつけているんですか?
園田:前回話した通り、趣味で小説を書くようになってから、それに時間を使いたいと思うので、全然見なくなったんですよね。
-あぁ。まさに以前哲学者の谷川さんがインタビューでおっしゃっていた「常時接続」ではない時間の使い方ですね。
園田:そうなんですよね。人生の生産性を上げるというか。そうするとSNSと自然と距離が取れるようになったんですよね。
-人生の生産性?
園田:生産性って、仕事の文脈で使われることが多いですよね。でも、仕事で生産性を上げると、疲れた時についついSNSを見ちゃいますよね。でも、僕の場合、小説を書くっていう趣味は生産をしてても疲れないんですよね。
-あぁ。生産しても疲れないもの。
園田:そういうものを一人ひとりが手にいれることが大事な気がします。それがイコール趣味ってわけでもなく、仕事の生産でも疲れないのならそれはとても素晴らしいことだとも思いますし。そういった疲れない生産を「人生の生産性」と呼んでるんです。そういうことで、人生が忙しくなった方がいいなって思うんですよね。
-なるほど。
園田:僕も個人のSNSはビジネスパーソンアカウントとして運用していたんですけど、久しぶりに見ても界隈のビジネスパーソンのアカウントはいまだに当時のままで元気ではあるんですよ。
でも、そういうアカウントのほとんどは、なんていうかどっかからインプットしたものをアウトプットしているだけで、何かを生産している感じがしない。誰かの意見をまとめたり、広めているだけなんじゃないかなと思うんです。
-ある種「攪拌」してるだけなのかもしれませんね。
園田:一方、自分自身が小説を書く趣味を見つけると、何かを生産したりクリエイションするのは、そういうインプット/アウトプットのようなのと根本的に軸が違うって感じるんです。もっと個人的な作業だって感じるんです。
-趣味を持ったからこそ、そういうことを感じられたんですね。
園田:ビジネスパーソンがポジティブに発信すること自体はいいことですが、悪意なくビジネスハックの文脈で色々なものを捉えていて、ちょっと違和感すら感じるんです。映画『ルックバック』とかでさえ、ビジネスの文脈で批評している方とかを見ると、ちょっとヤだなって。
-確かになんか嫌ですね。
園田:なんか、僕の思う豊かさとはちょっと違うんだよなって思うんです。自分自身は、2024年にSNSと距離をとったおかげで、すごく”のどか”に過ごせたと思うんです。そういう”のどかさ”を忘れないで、このLess is More.も運営していけたらいいなって思うんです。
-あぁ。のどかさのあるメディアっていいですね。
園田:えぇ。Less is More.は、のどかに文化を醸成できる場でありたいなと思っているんですよね。そのために4年半、時間を費やしてきたのかなって今はそう考えています。後付けですけどね(笑)。
-(笑)。
園田:毎年、年末にメディアを通して仲良くなった皆さんにお声がけして、ささやかな飲み会を開催しているんですね。毎年、本当に多様な研究者やビジネスパーソンが集まって交流するんですが、めちゃくちゃ面白いんです。会場のそこらじゅうで色々な会話が生まれていて、ものすごい熱量なんですよね。あの熱量を発信したいと思っているんですが、なんとかコンテンツ化できたらいいなって考えています。
これからの世界で失いたくないもの。
-じゃあ、一応最後に…園田さんが2025年、失いたくないものは?
園田:そんな雑な聞き方してましたっけ(笑)?うーん。「音楽」ですかね。僕にとっての音楽ってなんかしらの記憶を呼び起こしてくれるものだったんです。そのはずだったのに、近年サブスクで聞いたものって、全く記憶に残ってない。思い入れがないせいなのかもしれないと思って、思い入れを作ってみようと思っていて。
どの時期に出会って、どこで聞いたのか、そういうことを覚えていくために、毎月聞いた音楽をプレイリスト化してみています。そうしても、全然覚えていなかったりするんですけどね(笑)。
-では、2025年もどうぞよろしくお願いいたします(笑)。
園田:年末〜年始と取り留めもない雑談をお届けしましたが、みなさん今年もどうぞよろしくお願いいたします(笑)。ご笑覧いただければ幸いです。
Less is More.
園田編集長は、ビジネスパーソンの一人として、率直に「マーケティングが好きじゃない」と発言する。同時に目の前では、そういったことを取り入れないといけない。ビジネスパーソンの多くは、こうした矛盾を抱えているものではないでしょうか。
少しだけ自分らしい場を会社の中に作ったり、提案したりする。そういった一人ひとりの取り組みで世界が少しでも良くなったらいいな。そんなことを感じる雑談インタビューだった。
Less is Moreをこれからものどかな文化醸成の場として、お楽しみいただければ嬉しく思います。
(おわり)